⾥親制度

親の病気、離婚、虐待など様々な事情により親と一緒に暮らすことができない子どもが全国に約4万2000人、北九州市には400人以上います。そんな子どもを自分の家庭に迎え入れ、温かい愛情で見守り、安心感の中で養育するのが「里親制度」です。子どもの成長には特定の信頼できる大人との愛着関係の形成がとても重要です。今回の「子育て知っ得」は、この「里親制度」をご紹介します。

画像1
 

今回伺ったご夫婦が里親になったきっかけは、特別養子縁組を考え始めた時に「北九州市子ども総合センター」に相談に行ったことだったそうです。その時に社会的養護の必要な子どもがいることを知り、研修の受講を経て里親として登録され、短期間の養育から始められました。

里親になるためには

  • 相談
    まずは「北九州市子ども総合センター」に相談。
    里親制度について詳しく説明を受けます。
  • 研修・家庭訪問
    研修は計5日間。里親制度や子どもの養育について学び、児童養護施設などで実習も行います。
  • 審査・登録
    北九州市の審査を経て、里親として登録されます。
  • マッチング
    里親の家族状況や希望などを考慮し、「北九州市子ども総合センター」が養育をお願いします。
  • 子どもとの出会い
    多くの場合、子どもと面会し、外出や数日間の宿泊などから交流が始まります。
  • 里親委託
    子どもとの生活が始まります。
  • 画像2
  • 画像3
 

その後、ご縁があり、一人の男の子との特別養子縁組が成立しました。また、これまでに二人の女の子を養育里親として迎え入れ、その内一人はすでに就職。自立した生活を送っています。現在一緒に生活している中学生の女の子は、預かった当初は緊張した様子でしたが、一緒に食事をし、その日あったことなど、様々な話をする内に少しずつ心を開いてくれるように。自分のことや家族のことを話してもいいのだという安心感が生まれたようです。学校ではバレーボール部に所属。里父は、「練習や試合の送り迎えをし、試合に勝ったときには、同じ部活の仲間や保護者と一緒に喜び、家庭で経験する日常を分かち合えることはとても良かったです。その他にも、誕生日や入学式などの節目に覗かせる嬉しそうな表情を見たときに、里親になって良かったと思いました。」と語ってくださいました。

里親の種類

里親には、以下のような種類があります。

  • 養育里親
    家族と暮らせない子どもを一定期間、自分の家庭に迎え入れて養育する里親。
  • 専門里親
    虐待や非行、障害などの理由により専門的な援助を必要とする子どもを養育する里親。
  • 養子縁組里親
    養子縁組によって、養親となることを希望する里親。
    別途、家庭裁判所の審判⼿続きが必要です。
  • 親族里親
    両親等が死亡、行方不明などで養育できない場合に、祖父母などの親族が子どもを養育する里親。

里親のいろいろなかたち

里親としての希望や家庭の状況はさまざまです。そういった⽅でも無理なくできる、いろいろな里親のかたちがあります。

「里親とは養子縁組のことですか?」
 里親=養子縁組ではありません。里親は実親に代わって一時的に家庭で養育を行います。
 一⽅、養子縁組は法律上も親子関係が成立し、一生家族として暮らします。

「共働きでも里親になれますか?」
 なれます。
 子どもの養育に支障のない範囲であれば、共働きでも里親になることができます。

「数日~1週間程度の短期間の受入もできますか?」
 できます。様々な事情の中には短期間のケースもあります。

「実子がいても、里親になれますか?」
 なれます。実子に里親になることを伝え、理解を得たうえで新しい家族を迎えるのが理想です。

  • 画像4
  • 画像5
 

子どもの描いた絵が飾られた玄関。自分の絵が飾られた時の子どもの喜ぶ表情が伝わってきます。里母が子どもの頃に描いた絵もそばに飾られています。

  • 画像6
  • 画像7
 

共働きのため、自分のことはある程度一人でできる中学生以上の児童の受入を希望していたとのこと。
里父が元体育教師ということもあり、現在養育している女の子と庭でバレーボールの練習や指導ができたことで、徐々にコミュニケーションが図れるようになり、信頼関係を構築。女の子は日課としてニワトリ小屋のドアを開けてくれたり、洗濯物を畳んだり、料理のお手伝いをしてくれています。
また、将来は大学進学を希望しているため、里親宅から⼤学に通えばいいと伝えているそうです。一緒に食事をしながらその日の出来事を話し、季節の行事をともに楽しむことは、家庭でなければ経験できないこと。
一般家庭で当たり前に経験する日常生活や、その子にとって一生に一度の場面を共有できることに喜びを感じているそうです。

里親さんからのメッセージ

初めて出会う大人と、家族として一つ屋根の下で生活することは、子どもにとって、とても勇気のいることだと思います。私たち夫婦は、子どもにとって家庭が、温かく安全な場所であればと願っています。部活や受験勉強に一生懸命に取り組む姿に、「がんばれ!」と熱い声援を送っています。
安心できる家庭は子どもの可能性をぐんぐん伸ばしていくなぁ、と実感しています。子どもが笑顔で安心して生きられる社会っていいですよね。

里親になるために特別な資格や経験は必要ありません。
里親には、養育に必要な経費の⽀援、一時的な休憩のための援助、養育に困ったときの相談など、多くのサポート体制が整っています。「自分にもできるかも…」という方はぜひ、お気軽にお問い合せください。
 

【里親に関するお問い合わせ】
北九州市子ども家庭局子ども総合センター
電話番号:093-881-4556
里親制度/北九州市子ども家庭局子ども総合センター(北九州市サイト)

子育て応援情報